福井も猛暑でしたが、どこかに出掛けたかったので
フラリと永平寺に行ってきました
JR福井駅からバスで30分程で越前の山奥に到着
永平寺参道入り口の大きな二つの石の門には
「勺底一残水」「汲流 千億人」と刻んであります
お勺で水を飲み少し残っても捨てないで川に戻しなさい
その川の流れ汲んで千億人の人が助かります
「水を大切にしなさい」と言う道元禅師の教えです
聖地に足を踏み入れると独特の「氣」が流れていて
空気が澄んだような静寂・・
唐門の横に永平寺川があり川に沿って登ると
道元禅師の出家前の像があります
清々しい緑と美しい苔と綺麗な水に
心が洗われました
岩から流れ落ちる滝には小さな虹!
水しぶきを浴びながら、しばらく眺めました
樹齢600年を越える老杉の巨木に囲まれながら
静かにたたずんでいる曹洞宗大本山永平寺は
約750年前の寛元2年(1244年)道元禅師によって
開創建された出家参禅の道場です
33万平方メートルにも及ぶ広大な敷地には山門、仏殿
法堂、僧堂、大庫院、浴室、東司などの修行の中心となる
七堂伽藍など70余棟の建物があります
禅寺の修行僧を「雲水」と呼ぶのは
元々は雲のように定まらず、水のごとく流れながら
道を求めて行脚するさまを指してのことだそうです
神社仏閣に興味を持つようになってから
世界がグッと奥深くなった気がします
普通ならば山門を通って来るのですが、通常の参拝者は
永平寺の山門を通りません
仁王像の代わりに北方・多聞天王、東方が持国天王に
なっています
反対側は南方・増長天王、西方・廣目天王と
書いてあるようでした
道元は優れた歌人でもありました
新古今集の歌人・慈円を大叔父に持ち
後鳥羽院宮内卿らと親交を結んだ道元にとって
歌を詠むことは自らの人生に欠かせない営みでした
春は花 夏ほととぎす
秋は月 冬 雪さえて
涼しかりけり
明快な歌の中に込められた道元の深遠な思いが
目の前に風景として広がります
観る者と観られるものが一体となった透き通った世界・・
権力から遠く離れた越前の山奥に身を置いて
厳しい修行の果てに道元が悟ったこと
ただなんとなく訪れた永平寺ですが
究極の引き算のような「禅」について
探求してみたくなりました
永平寺は簡素なお寺ですが見所もいろいろありました
156畳の部屋には昭和初期の一流日本画家144人が描いた
230枚の花鳥を中心とした絵天井がある傘松閣があります
5枚だけ花と鳥以外の絵があって獅子2枚、鯉2枚
栗鼠1枚を見つけると願いが叶うと伝えられています
1枚だけ赤い南天の実をくわえた白頭鳥の絵があって
南天は難を免れると伝えられています
(島崎藤村の姪にあたる西丸小園画伯の作)
日本画の巨匠 川合玉堂画伯「杜若」
伊東深水画伯「アザレア」
広田百峰画伯「白梅」も必見の絵画です
塵ひとつ落ちていない回廊
ゴミ箱も「護美箱」でした
最後に山に響き心地良い音色の梵鐘を
鳴らさせていただきました
今度は冬に訪れてみたいです