
武生には歴史的建造物が多く残っています。
MODE大井ビル(旧大井百貨店)は福井県で2番目にできたデパートで、
昭和初期のモダンな雰囲気が今も残されている貴重な近代建築です。
設計は近鉄宇治山田駅や南海ビルディングを手掛けた久野 節。
地方の小さな町の建築に このような建築家が携わったことも
驚きですが、このビルには他にも多くのお宝が潜んでいました。

一番のお宝は何と言っても「白き妖精」のマネキン!
東郷青児デザインのマネキンで、日本で唯一現存して
いるものだそうです。
伝統的な日本人形の製法で制作されていて、
昨年は鹿児島市立美術館の東郷青児展に貸し出されるために
60年ぶりに運び出されたのだとか・・

まさにレトロモダンな昭和そのもの。
手つかずのまま消費されずに ひっそりとこのショーウィンドーで
時を過ごしていたのだと思うと感動的です。

ご店主の大井さんに貴重なお話を伺いながら、
許可を得て店内の写真も撮らせていただきました。
装飾の美しい高い天井や当時アメリカから取り寄せたという
鉄扉には歪みや気泡がない素晴らしいガラスが付いていて、
当時の繁栄ぶりが伝わってきます。
他にも特注のアメリカ製レジスターや明治初期の木版画、
江戸時代の商紋入りの陣笠なども展示されていて、
とても興味深かったです。

江戸期の鳳風屋根看板には「山との商紋」
商紋や「店」の字が旧漢字の由来なども
詳しく教えていただき、たいへん勉強になりました。

こちらの絵皿も東郷青児でした。
戦後一世を風靡したダンディな洋画家の描く女性は
優美で独特の個性があって永遠の乙女といった感じ・・
近代建築に通じるものを感じます。

この建物にはいろいろな不思議も潜んでいて、
裏鬼門には隅切りがありました。
近代建築で建物の隅が切られているのは
全国でここだけなのだそうです。

隅切りされている半畳ほどの四角いスペースには
白砂が敷かれ、鍾馗(しょうき)さんと大黒さんと
恵比寿さんがおられました。
入り口の雄雌対の魚板を木槌で叩くと福が舞い込むのだとか・・

建物の後ろにある大井家の木造住居の屋根の上にも鍾馗さんを発見!
屋根は一文字瓦でした。

特別に見学させていただいた「むくり天井」
古い建物に心惹かれるのは美しい職人技が
秘められているからかもしれません。
15年前に移築されてしまいましたが
文化4年(1807年)築の大井家の商家も見事です→
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建築の他にも芥川龍之介が大井家に数ヶ月滞在したことなど
ご店主の大井さんには埋もれてしまった興味深いお話を
いろいろ聞かせていただき、感謝、感謝です。
貴重なお話を ありがとうございました!